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縮毛矯正をしたのに、癖が戻ってしまった。

癖っ毛さんあるあるとして、縮毛矯正をかけた後、時間の経過と共に癖が出てくるって人をちょくちょく見かけます。

経験のある人も多いのではないでしょうか?

特に、癖が強い人や、極端に硬毛や軟毛の人に多く見受けられる様に感じます。

こういった経験をされている人の多くが、そんなものかと諦めている人が多い様ですが、本音は綺麗に伸ばしたいに決まっていると思います。

いかがでしょうか?癖戻るのは嫌に決まってますよね?

そんな当たり前な答えですが、実際問題こういった事例は少なくありません。

これの原因が明確にあるのなら、対処方法がわかってくると思います。

原因としては、さまざまな理由が考えられるので、一つ一つ見てみましょう。

・縮毛矯正の薬剤が髪に対して弱過ぎた。

一番多いかもしれない事例が、髪に対して薬剤のパワーが弱過ぎた場合、癖は伸びないか、伸びた様に見えても、時間の経過と共に癖が戻ってきたりします。

縮毛矯正の薬剤の作用は、還元・軟化・膨潤の3つの作用が関係してきます。

還元とは、髪の中にあるSS結合(身体で例える骨)を切断して動かせる状態にすることを指します。

この還元のおかげで、癖を自在にコントロールすることが可能となります。

軟化とは、文字通り髪を柔らかくすることで、毛髪内外の形状のコントロールをしやすくします。

膨潤とは、髪を膨らませることで、主に表面のキューティクルのコントロールを効きやすくする目的があります。

そう、こう見ると、縮毛矯正は様々な薬剤の反応の元で癖をいじっている訳ですが、現代の様に美容技術が発展した中で、日本人の髪は非常に混合した複雑なダメージになっているケースが多いです。

ここで美容師さん目線で言うと、特に初めましてのお客様の場合でダメージが強いなどの状態だと、あまり攻めるのが怖いって言うのが本音だと思います。

癖が伸びなかった場合は、ダメですけどまたやり直しができますが、やり過ぎて滅茶苦茶ダメージさせてしまった場合、リカバリーが利かないケースも少なくありません。

そんな最悪の結果を避けるために、薬剤を弱く設定した結果、癖が戻ってしまった。

他店でのお直しでよく目にするパターンですね。

・髪質の特性上、うまく薬剤が反応できていないケース

これもよくあります。

どう言うことかと言いますと、極端な硬毛(硬い髪質)や極端な軟毛(猫っ毛の様な柔らかい髪質)の場合です。

硬毛の場合、通常の波打つタイプの癖に加えて、一本一本が捻れた様な捻転毛の様な髪質の人もいます。

癖の種類については割愛しますが、こういった髪質の場合、強い撥水性の髪質だったりします。

この場合、イメージ的には煮物を作る時の味の染みにくい食材だと思ってください。

ここで更に上記した還元・軟化・膨潤の話が出てきます。

縮毛矯正をやられる方の中には、アルカリ矯正や酸性矯正なる単語を耳にしたことのある人もいらっしゃると思います。

あれって、どう言う意味なの?って思いませんか?

酸性矯正は優しいから痛まないんでしょ?って言われる人もいますが、そんなこともないです。

アルカリや酸性の話をする時に、違いはphがそもそも違います。

少し専門的なお話になりますが、人の髪はph4.5〜5.5で安定しています。

科学的には中性はph7なので、弱酸性で人の髪は安定するってことです。

身体も同じです。なので弱酸性メリットってのがあるわけです。

では、この髪がphが上がってアルカリに寄っていくとどうなるでしょう。

この時に、上に書いた膨潤の反応が起こるわけです。

phが上がれば上がるほど、膨潤は進みます。

料理の話に戻りますが、phが上がると言うことは、火力が上がると言うこと。食材である髪は水を吸って柔らかくなっていると想像してください。

そうすれば、味が染みやすくなるのも想像できると思います。

この味を染み込ませるのが還元であり軟化です。

他にもアルカリ度とか色々ありますが、ややこしくなるので、簡単に説明すると薬剤の威力が上がると思ってください。

料理で想像した時に、強火で調理って火の通りは早くていいのですが、焦げ付くリスクも同時に高くなりますよね?この焦げってのが、縮毛矯正でいう取り返しのつかないダメージを意味します。

逆に弱酸性の縮毛矯正を見て行きましょう。

基本的に縮毛矯正の薬剤はアルカリに行けば行く程、その薬剤の作用は強くなります。

前述しましたが、弱酸性の状態で安定する毛髪に対してなら、賛成は安全に映ると思います。

しかし、これまた少し違います。

安定している状態では、還元などの反応はゆったりですが、それだと癖伸びないんじゃない?って感じませんか?

これもまた化学のトリックなのですが、ph8のアルカリの状態と、ph3の酸性の状態では、同レベルの膨潤率が見られるんですね〜。

少し難しいですね〜。

だから賛成でも縮毛矯正が掛けれるってわけですね。

アルカリ矯正との違いは、アルカリ度があるのかないのかが一番大きいと思います。

さて、長くなりましたが、今回の様な硬毛さんや軟毛さんの場合、これまで説明してきた反応を十分に満たすことができていない場合、癖が戻りやすいです。

なぜ十分に反応できないのか?それこそ髪の特徴です。

硬毛さんの場合、髪が撥水性に偏っていますので、薬剤にパワーがないと、満足に膨潤できないんですね。

しかし、アルカリ矯正の経験が少ない美容師さんの場合、ハイダメージに直結しやすいため、少し保険をかけたりします。薬剤のパワーを下げたりとかですね。

これが戻る原因になったりします。

逆に軟毛さんの場合は、薬剤をつける前に、すでに膨潤しているケースも少なくありません。

そうした場合、薬剤の選定を誤ると、過膨潤や過軟化などの行き過ぎた反応を起こしやすいです。

膨潤や軟化ができている=還元もできているわけではないので、十分に薬剤が反応できる前に髪自体の限界を迎えるケースが多い様に思います。

この場合も、やはり癖は戻りやすいです。

・意外な落とし穴、結合の種類の違い。

癖が戻ってしまいやすいお客様の中に、こんなケースがあります。

いつも同じお店で縮毛矯正をやっているけど、いつも癖が戻ってしまう。といったもの。

美容師目線で言いますと、何度も縮毛矯正をやらせて頂けているとしたら、前回のやり方で癖が戻ったのであれば、必ず薬剤選定を見直すと思います。

なのに、毎回癖が戻ってしまう。この原因に挙げられるのが、結合の種類の違いです。

また少し難しい話になりますので、なるべく噛み砕いて説明いたします。

まず、縮毛矯正をやる上で、髪のどこをいじるかと言いますと、髪の中の結合をいじって癖を伸ばす訳ですが、この結合をSS結合と言います。

更にSS結合の中には、S-1とS-2の2つの結合に分けられます。

さぁ、早速めんどくさくなってきましたね(笑)

そして、この2つの結合は、同じSS結合なのですが、特徴があります。

S-1は親水性のSS結合で、S-2は疎水性のSS結合です。

人によってどちらかの結合を持っているのではなく、両方が混在しています。

ただし、これらの結合の割合は人それぞれです。

しかもですよ。その配置もマチマチな場合も結構あります。

図の様な感じですね。

更に、縮毛矯正の薬剤の中に含まれるSS結合を切断する還元剤の中には、S-1と相性のいい還元剤とS-2と相性のいい還元剤と特性があります。

どちらかの結合との相性がいいってだけで、もちろん、両方の結合に作用はします。

そして、これはサロン様によりますが、揃えている縮毛矯正の薬剤のパターンとして、一つの種類の還元剤で、薬剤のパワーの違いで対応している場合、もしその還元剤との相性の良くない結合の割合が多かったら?

なんとなく結果は想像できるかと思います。

先の過膨潤などの関係もありますので、無理に薬剤の放置時間も伸ばせませんしね。

もちろん、結果は伸びません。伸びたとしても、癖は戻りやすいです。

この場合の対処方法は一つ。

薬剤の種類に富む専門店での施術が一番確実です。

結局なんの薬剤を持っているのかはサロン様によって異なりますし、自分の髪がどうかは判断できません。

こういった悩みがある場合は、迷わず縮毛矯正専門店を訪れましょう。

何かの理由で髪が酷く傷んで毛先が箒みたいになった。

これは、癖が戻ったとは違いますが、消費者側からしたら戻った様に見えるかもしれません。

↓こんな感じです。

(多分これはカラーによるダメージですね)

特に近年多いのが、縮毛矯正をそもそも誤解している方が非常に多い様に思います。

例えばこんなことをよく言われます。

「すごい髪が傷んで広がってしまうから、縮毛矯正をやりたい!」

これ美容師的には???って感じになります。

なぜかと言いますと、縮毛矯正は癖を伸ばすものではありますが、この場合はダメージによって髪が広がっています。

思い返してみましょう。

縮毛矯正とは、美容院で行う施術の中でもTOPを競う程の高負荷を髪に与えます。

もしも、一時的に広がりが収まったとしても、根本的な問題の解決はできませんから、時間の経過と共に必ず髪は広がってきます。

さらには、施術前よりも状態が悪化する可能性は大いにあります。

となると、問題の解決策として、縮毛矯正はどうでしょうか?

あまり得策ではないと思います。

では、この様なケースの場合は、何が正解でしょうか?

答えはトリートメントです。

この様なケースはダメージに起因していますので、よりダメージを与える事は逆効果になります。

もしも縮毛矯正をやるとしたら、その後のケアは絶対です。

定期的なサロンケアと徹底したホームケアの両立が難しいのであれば、縮毛矯正はやるべきではないかもしれません。

まとめ

縮毛矯正をしたのに癖が戻ってしまうのは、様々な要因がありますが、縮毛矯正をなぜここまで難しくしているかというと、結論、進歩し過ぎた美容技術です。

複合され複雑になったダメージ、さらに平均的なダメージレベルが10年前と比較して格段に酷くなっています。

それに対して、縮毛矯正の技術自体はあまり進歩しておらず、縮毛矯正に精通した美容師さんが少ないのも相まって、事故率が急激に増えてしまったのが正直なところです。

ですから、縮毛矯正の予定がある人は特に、ブリーチなどのハイダメージになる施術は避け、心配な方は、専門店での施術をオススメします。